ウクライナ越境、6日で1カ月=ロシアも進軍、互いにけん制
ウクライナ軍がロシア西部クルスク州への越境作戦を開始して、6日で1カ月となる。ウクライナは、この間に国境地帯の1300平方キロ近くを制圧したと強調。一方、防御に穴があいた同国東部ドネツク州でロシア軍の前進を許した。両国とも将来の交渉をにらんで攻勢を強め、互いをけん制している。
「ロシア領が欲しいわけではない」。ウクライナのゼレンスキー大統領は3日の米NBCテレビのインタビューで、占領したウクライナ領の「併合」を主張するロシアのプーチン大統領とは違うとして、越境攻撃を正当化した。その上で、クルスク作戦は9月に米国へ提示予定の「戦勝計画」の一部だと改めて説明。領土保持は無期限だとし、交渉で譲歩を引き出す手段との認識を示した。
思わぬ反撃を受けたプーチン氏だが、強気の姿勢を維持している。2日にシベリアの学校で行った新学期の「公開授業」で子供たちを前に、ゼレンスキー政権の狙いはロシアによる「ドネツク州解放」の妨害だと断定。ウクライナ側の作戦は奏功せず、逆にロシアはこう着していた前線で占領地を「平方キロ」単位で広げていると豪語した。
実際、ロシアはドネツク州ポクロフスク方面で猛攻を継続。所期の侵攻目的である同州全域制圧への足掛かりにしようとしている。それを裏付けるかのように、AFP通信は最近、米シンクタンク戦争研究所のデータを基に、ロシア軍による8月の占領面積が2022年10月以降、月間として最大だったという分析結果を報じた。
越境作戦は、思わぬ影響もロシアにもたらしている。兵力供給の頼みの綱だった志願兵募集に限界が見えていたところ、ウクライナが「侵攻」してきたことで、国民の愛国心が高揚。独立系メディアによると、モスクワで1日当たりの採用人数が倍増した。
[時事通信社]
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