ウクライナ軍、東部で劣勢=二正面作戦の吉凶見通せず
ウクライナ軍が東部ドネツク州で、ロシア軍の猛攻を前に劣勢に立たされている。ゼレンスキー大統領は、一部の前線で戦況が「極めて厳しい」と説明。ウクライナ軍は目下、ロシア西部クルスク州への越境攻撃とドネツク州防御の二正面作戦にあえて出ており、これが吉と出るか凶と出るかは見通せない。
ロシア軍が猛攻を仕掛けるのは、ドネツク州ポクロフスク方面。今年2月に激戦地アウディイウカが陥落したことでウクライナ軍の防御に穴があき、領土の奥深くへの前進を許している。
ポクロフスクは交通の要衝。人口約6万人だったこの地がロシア軍の手に落ちれば、ウクライナ軍は補給面で大きな制約を受ける。さらに、近くの都市コンスタンチノフカが孤立し、包囲される恐れも出てくる。
ポクロフスク方面の戦況報告を受けたゼレンスキー氏は28日、「ロシア軍が集中している。陣地を守る兵士と指揮官に感謝する」と演説した。一方、ロシア本土で「制圧地域を拡大し続けている」と強調。越境攻撃が、ドネツク州への増派を試みるロシア軍の足かせとなっていると主張した。
ゼレンスキー氏は27日の記者会見で、北大西洋条約機構(NATO)加盟国から届いたばかりの米国製戦闘機F16が「実戦投入」されたと認めた。ただ、数量はわずかで、ロシア軍による26日の大規模空爆でミサイルを撃ち落とす任務にとどまっている。1機は墜落しており、前線の戦況を変えるには程遠い。
[時事通信社]
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