盗塁は「自滅的作戦」?=セで大幅減、広島は果敢に―プロ野球
プロ野球で盗塁数が減少し、特にセ・リーグで顕著な傾向が出ている。セのここ10年の盗塁数を1試合平均(1チーム)で比較すると、2015~20年はおおむね0.5盗塁(2試合で1盗塁)以上だったが、21年以降は0.5を下回り、昨季と今季は0.39まで低下。6球団合計の盗塁企図数も15年の673(うち成功455)から昨季は515(同336)と2割以上も減った。
今季の盗塁数は、セが268でパが374。投手が打席に立つセはパに比べてもともと少なめだが、成功率でもセは63%、パは71%と大きな差が出ている。現役選手最多の通算339盗塁を誇り、両リーグでプレー経験があるヤクルトの西川は「単純に投手のクイックモーションが速いのではないか」と印象を語る。セ球団の複数のコーチによると、西川の意見を裏付けるようなデータが出ている。18年にセットポジションの静止についての基準が緩和されたことや、DeNAの山本や中日の加藤匠ら送球が良い捕手の存在も要因として挙がった。
盗塁数が減少傾向にあるのはパも同じ。走者がアウトになるリスクが高い盗塁は、「ほぼ自滅的な作戦」とする意見が以前からあった。ロッテの金子戦略コーチは「昔からハイリスク・ローリターンだと思っていた。よほどセーフになる根拠がないと…」。ヤクルトの伊藤投手コーチは「盗塁という作戦が、そんなに得点に影響しないという文化が根付いてきたのではないか」と指摘する。
そんな中でも積極的に仕掛けているのが、セの首位に立つ広島。ここまでの盗塁企図数はリーグトップの96で、失敗は両リーグ最多の48。成功率50%も12球団最低ながら、果敢に走っている。本塁打はリーグ最少の45本と長打力を欠き、小技を絡めて1点をもぎ取るのが今季のスタイル。藤井ヘッドコーチは「うちは『100%成功じゃなければ走るな』ということはやっていない。(盗塁で得点圏に進み)外野手が前に来てくれたら、ヒットゾーンが広がる。そういうのもある」。トレンドに逆行する戦法で結果を残している。(今季の記録は26日現在)。
[時事通信社]
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