中国、ロシア重視鮮明に=侵攻2年半、経済面で支える
【北京時事】中国の李強首相は20~23日、ウクライナ侵攻を続けるロシアと、ロシアの同盟国ベラルーシを歴訪した。2022年2月の侵攻開始から2年半となる中、米欧の制裁を尻目に、対ロ経済支援を継続する意向を表明。対米共闘の観点から中ロ連携を重視する姿勢を改めて鮮明にした。
「中ロ関係は国際情勢の影響を受けない。自身の合法的権益を堅持し、両国の正常な関係発展や経済活動を妨げるいかなる企てにも反対する」。21日にモスクワで会談した李氏とミシュスチン首相は、共同コミュニケでこううたい、両国間の貿易拡大や電子商取引(EC)の推進、米ドル以外の現地通貨決済比率を高水準に保つことなどで合意した。
バイデン米政権は昨年12月、ロシアの軍需産業を支援した第三国の金融機関を米国の金融システムから締め出す強力な対ロ制裁を発動。これを受け、中ロ間ではデジタル資産や暗号資産(仮想通貨)の活用、物々交換の検討が伝えられ、米国の監視をかいくぐる動きが水面下で続く。
7月の中国による対ロ輸入は前年同月比で約5%増と、3カ月ぶりに増加に転じた。コミュニケには「決済インフラの強化」も盛り込まれており、今後、さらなる代替決済ルートの構築が進むとみられる。
中国はウクライナ危機の仲介役を自任し、表向きは「中立姿勢」を強調している。しかし、習近平国家主席は侵攻後もプーチン大統領と会談を重ねる一方、ウクライナのゼレンスキー大統領とは一度も会っていない。今年6月にスイスでウクライナ主導の和平案を協議するため開かれた「平和サミット」も、中国はロシアに配慮し欠席した。
李氏が歴訪を終えた23日、中国の「ライバル」インドのモディ首相はウクライナを訪問し、ゼレンスキー氏と抱擁を交わした。中国と同様、ロシアと友好関係を保つインドだが、ウクライナの立場にも理解を示すことで、バランス外交を国際社会にアピールした。
[時事通信社]
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