激戦州の浮動票争奪へ=ケネディ氏撤退で民主・共和両党―米大統領選
【ワシントン時事】11月の米大統領選で「第3の候補」だった無所属ロバート・ケネディ・ジュニア氏(70)が撤退し、民主党のハリス副大統領(59)と共和党のトランプ前大統領(78)はケネディ氏が押さえていた浮動票の取り込みを図る。両者が競り合う激戦州の浮動票の行方が選挙戦全体の結果を左右する可能性がある。
「米国を再び健康にしよう」。トランプ氏への支持を表明したケネディ氏は23日の撤退表明直後、西部アリゾナ州フェニックス近郊で開かれたトランプ氏の選挙集会に参加。自らの重点政策と「米国を再び偉大に」というトランプ氏の標語を掛け合わせて聴衆を沸かせた。
二大政党に属さないケネディ氏は、大統領選の投票用紙に候補者として名前を記載するために各地で署名活動を展開。これまでにミシガン、ノースカロライナなどの激戦州を含む22州で立候補が認められていた。さらに20州と首都ワシントンでも必要数の署名を集め、手続きを進めていた。
23日時点で政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」がまとめた各種世論調査結果の平均によると、全国での支持率はハリス氏の46.4%、トランプ氏の44.4%に対し、ケネディ氏は5.0%だった。ケネディ氏の数字が単純に上乗せされればトランプ氏が逆転する計算だ。
トランプ氏の陣営は特に激戦州で得票に上積みが見込めるとして、ケネディ氏撤退を歓迎。トランプ氏は演説で、ハリス氏を名指しして「カマラ、お前はクビだ」と気勢を上げた。
しかし、二大政党に満足しないケネディ氏支持者の動向は不透明だ。中西部イリノイ州シカゴで、ケネディ氏支持者の集会に参加した実業家ボブ・リトルさん(55)は「怒りといら立ちを感じる。トランプ氏やハリス氏に投票するつもりはない」と強調。音楽家ピーター・クルーズさん(43)も「ケネディ氏が誰を支持するかは私には重要でない。投票先は分からない」と打ち明けた。
ハリス氏の選挙陣営責任者ジェン・オマリーディロン氏は「トランプ氏にうんざりし、新たな道を探す全ての米国人のために、われわれの活動はある」とケネディ氏の支持者に呼び掛けた。「ケネディ支持票」の争奪戦が早速熱を帯びている。
[時事通信社]
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