強い指導者像を演出=ガザ情勢では慎重に独自色―ハリス氏・米大統領選
【シカゴ時事】米国は最強の戦力を持ち、世界での指導力を強化する―。ハリス米副大統領は22日の演説で、強い指導者像の演出に努めた。一方でイスラエルの攻撃に苦しむパレスチナ自治区ガザの人々に寄り添う姿勢も強調。対中競争や国際協調を重視するバイデン大統領の外交路線を踏襲しつつ、慎重に独自色を打ち出している。
「パレスチナの人々が尊厳や安全、自由、民族自決の権利を実現することは可能だ」。ハリス氏が演説でこう語ると、会場ではひときわ大きな歓声が湧き起こった。また、ガザの状況を「悲惨だ」と表現。停戦の早期実現を訴えた。
イスラエルが自国を守る権利を支持するハリス氏の姿勢はバイデン氏と変わらない。だが、ガザの惨状を語る言葉に力を込める姿は、イスラエル支持で民主党内の分裂を招いたバイデン氏を念頭に「バランスを取った」(米紙ワシントン・ポスト)印象を与える。イスラエルに批判的な若い世代の支持をつなぎ留める狙いもあるとみられる。
また、ロシアの侵攻が続くウクライナや北大西洋条約機構(NATO)加盟国との関係を重視すると表明。「米国第一」を貫くトランプ前大統領との違いを鮮明にした。トランプ氏が親密さをアピールする北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記にも「擦り寄るつもりはない」と断言しており、外交面で人権など民主主義的価値観を重視する構えを示した。
[時事通信社]
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