「原チャリ」惜しむ声=環境規制で存続厳しく―小型・軽量の入門バイク
「原チャリ」の愛称で親しまれてきた原付き1種(排気量50cc以下)の生産継続が環境規制強化のため難しくなり、利用者から惜しむ声が上がっている。各メーカーは出力を抑制した125cc以下の「新基準原付き」や小型電動バイクなどの代替商品を用意しているが、小型・軽量の入門バイクを懐かしむライダーは少なくない。
「50ccはエンジン音が魅力。なくなるのは寂しい」。東京都足立区などでバイク店を経営する新保幸夫さん(44)は、高校入学と同時に6万円で中古のヤマハ発動機の「ジョグ」を購入し、仲間とのツーリングを楽しんだ。店舗には今も30年前の車種が修理に持ち込まれることがあるといい、「生産終了後も50ccに乗り続けてほしい。修理などのサポートは続けていく」と話す。
2022年にホンダ「スーパーカブ」で日本を一周したSNS発信者の「たぴこ」さん(26、氏名非公表)は、「ゆっくり走って好きな所で止まれる」原付きの特性を生かして現地の人と交流しながら旅を続けた。「カブのおかげでいろいろな人に出会えた。この経験が若い人に受け継がれないのは悲しい」と残念がる一方、「カブは頑丈だから一生乗り続ける」と決意する。
原付き1種の存続が難しくなったのは、25年11月に予定される排ガス規制強化のためだ。政府は現在、制度改正に向けて詳細を詰めているが、排気量が小さい50ccは規制をクリアするのが難しく、主要メーカーは順次新車の生産を終え、新基準原付きなどにシフトする方向。
ただ、新保さんは「原付きに比べ、新基準原付きは車体が大きく、電動バイクは値段が高い」と指摘し、代替できるか疑問視する。
環境省の担当者は「大気環境を良くするためだ。今乗っているバイクに影響はないので大切に乗り続けてほしい」と理解を求める。二輪事業を所管する経済産業省も「環境規制を守りながら、原付きの良さも維持できるよう制度改正を進める」(関係者)方針だ。
[時事通信社]
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