映画界のレジェンド、アラン・ドロンさん 世界中から追悼の声
【パリAFP=時事】18日に88歳で死去した映画界のレジェンド、アラン・ドロンさんをしのび、世界中から追悼の声が寄せられている。≪写真は仏中部ドゥシーにあるアラン・ドロンさんの自宅の門に花を手向ける人々≫
1960年代の仏映画の黄金時代を代表する、最後の生きた伝説の一人だったドロンさんについて、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は「数々の伝説的な役を演じ、世界中に夢を与えた」「フランスの記念碑」と哀悼の意を表した。
同じく1960年代の映画スター、ブリジット・バルドーさん(89)はAFPに対し、「(ドロンさんが残した)とても大きな穴は、どんなものにも誰にも埋められない」と惜しんだ。
19日の仏各紙の多くは1面でドロンさんの死を取り上げ、多くは全面に全盛期の写真を掲載。キャリアの大半を過ごしたイタリアでも、大々的に訃報が報じられた。
米国のニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、ニューヨーク・ポスト紙はいずれも長文の追悼記事を掲載。
英紙ガーディアンに映画論評を寄せるピーター・ブラッドショー氏は、「魅惑的で美しく、映画界で最もミステリアスなスターの一人だった」と追悼した。
■賛否を呼んだ私生活
世界中に大勢のファンがいた一方で、私生活や政治的意見をめぐっては賛否両論を呼んだ。
女性関係をめぐっては物議を醸した。ドメスティックバイオレンス(DV)を受けていたとの息子たちからの訴えを否定する一方で、女性と口論になると相手を平手打ちしていたことは認めた。
また、極右政党・国民戦線(FN)の創設者で、同性愛を容認しないジャンマリ・ルペン氏を支持したことでも批判を浴びた。
こうした一面から、2019年にカンヌ国際映画祭で名誉賞「パルムドールドヌール」が授与された際にはフェミニストからの反発を招いた。
■「私たちの心の中では永遠の存在」
晩年は表舞台から退いていたにもかかわらず、私生活では注目を浴び続けた。3人の子どもは、同居人兼アシスタントの女性をハラスメントと脅迫行為で訴え、他方で、ドロンさんの健康状態をめぐりメディアや法廷で論争を繰り広げた。
ドロンさんの遺志もあり、国葬は予定されていない。ドロンさんは生前、仏中部ロワレ県ドゥシーの自宅敷地内に眠る愛犬たちの近くに埋葬してほしいと語っており、地元当局への打診も始めていた。自身が死去したのもドゥシーだ。
AFPの取材に応じたロワレ県の副知事によれば、県は「大筋で認めていた」という。
密葬を執り行うか、追悼の場を映画界にも広げるかは子ども3人に委ねられている。
自宅の入り口の外には、多数のファンが花を手向けていた。
姉妹で訪れていた女性は、「私たちの心の中では永遠の存在」だと語り、「私たちの青春の一部が失われてしまった。とても悲しいです」と話した。【翻訳編集AFPBBNews】
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