物価高、政策効果を減殺=家計支援も国民の実感乏しく―岸田政権
岸田文雄首相は2021年の就任から約3年間、企業に賃上げを促す一方、電気・ガス代補助金や減税など家計を重視した経済政策に力を注いできた。だが、「デフレ脱却」を目指す金融政策などがもたらした過度な円安や物価高が政策効果を減殺し、国民には実感は乏しいままだった。
「大きな成果を挙げることができたと自負している」。首相は14日の記者会見で、デフレから成長型経済への移行を促す自身の経済政策「新しい資本主義」の成果を強調した。
首相は安倍政権同様、物価が持続的に下落する「デフレ」からの脱却を政策目標の柱に掲げてきた。ただ、物価だけでなく賃金の上昇が伴う「好循環」の実現が重要とみて、毎年の春闘では企業側に強く賃上げを要請してきた。
連合が集計した春闘での平均賃上げ率は政権発足前の21年に1.78%だったが、24年は5.1%まで伸び、33年ぶりの高水準を記録。自民党の派閥裏金問題などで支持率が低迷する岸田政権にとっては、実績をアピールする格好の材料となった。
だが、金融緩和や円安、国際情勢の緊迫化などの影響で物価が上昇を続ける一方、賃金の伸びは物価に追い付かず、国民の間では経済が上向いているとの実感は薄い。物価変動を反映させた実質賃金は6月にようやくプラス転換したが、5月までは26カ月連続でマイナスだった。
時事通信の世論調査では、首相肝煎りで6月から実施した定額減税が物価高対策として効果が「あると思う」と答えたのはわずか14.2%。首相が、いったん終了した電気・ガス代の補助金を復活させることについても「評価しない」が32.6%に上った。
今春には、経済政策の成果を印象付けて政権浮揚につなげる思惑から、「デフレ脱却宣言」を模索する動きも浮上した。だが、物価は上昇しても賃金が追い付かない中では国民の評価は得られないと判断。目標としたデフレ脱却も道半ばで退場することになった。
[時事通信社]
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