中ロ貿易が足踏み=米制裁で「取引に支障」
中国とロシアの貿易が足踏みしている。1~7月の貿易総額は前年同期比1.6%増と、小幅な伸びにとどまった。中国の大手国有銀行が米国からの制裁を避けるために対ロ取引を止めた影響とみられ、国境の街では「取引に支障が出ている」(貿易関係者)との声が漏れた。
中ロ国境貿易の6割超が通関するとされる内モンゴル自治区の満州里。国境近くに輸出用とみられる中国製の自動車が並んでいた。「前は外資メーカーの車も多かったんだけどね」。ロシア人のトラック運転手はこう打ち明けた。
貿易拡大の足かせとなったのは、昨年12月にバイデン政権が打ち出した対ロ制裁の強化だ。ウクライナに侵攻するロシアの軍需産業などを支援したと米国がみなした金融機関を米市場から締め出す内容となっており、中国の大手行は相次いでロシア向け取引を停止。貿易業を営む中国人の男性は「今も取引はできるが、これまでより手続きが少し複雑になった」と明かした。
中国貿易統計によると、両国の貿易総額は2023年に前年比26.3%増加し、過去最高の2401億ドル(約35兆円)を記録。ただ、今年に入ってからは一転、伸び悩んでいる。
中国メディアによると、米制裁に伴って、中ロ間で交わされる人民元決済の8割が止まったとの見方もある。このため、ドルや人民元、ロシア通貨ルーブルに加え、暗号資産(仮想通貨)「テザー」などが重要な取引通貨として浮上。ロイター通信によれば、両国は物々交換の導入を検討しているという。
先の中国人男性は「ウクライナの問題は本当にやっかいだ。なぜわれわれがそのあおりを受けなければいけないのか」と不満をぶちまけた。 (満州里=中国内モンゴル自治区=時事)
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