小沢氏、公然と「泉降ろし」=存在誇示、陰る影響力―立民代表選
9月の立憲民主党代表選に向け、小沢一郎衆院議員が活発に動いている。指導力不足だとして泉健太代表の交代を公然と唱え、枝野幸男前代表や野田佳彦元首相らと会談を重ねる。次期衆院選後に政局が混迷する可能性が取り沙汰される中、存在感を示して主導権を握る狙いとみられるが、かつての「豪腕」も影響力の低下は否めない。
「今度の総選挙は最大で最後のチャンスだ。政権を取るのにふさわしい人を選ぶ」。小沢氏は7月31日夜に野田氏と東京都内のホテルで会談した後、記者団にこう強調。泉氏に代わる代表候補を立てたいとの考えを重ねて示した。
小沢氏によると、会談では政権奪回を目指す方針で一致。8月のお盆明けまでにそれぞれ代表選の対応を決めることになった。野田氏とは7月19日夜にも会食している。
2021年の前回代表選で小沢氏は泉氏を推したが、直後の人事を巡って行き違いがあり、距離ができた。動きが早まったのは今年7月に入ってから。9日、野党選挙協力の遅れを理由に、記者団に対して「泉代表で(衆院選を)やったら沈没だ」とのろしを上げた。
25日には、議員引退後も党内最大グループでリベラル系の「サンクチュアリ」に影響力を残す赤松広隆前衆院副議長と面会。代表選出馬に意欲を示す枝野氏とも30日に会った。次の「党の顔」を探して重鎮クラスと集中的に接触している。
12年に旧民主党が政権を失って以降、野党陣営は勢いを取り戻せなかった。小沢氏も国政の中心から遠ざかった。だが、自民党が派閥裏金事件でつまずいたことで流れは一変。自民側からも「与党で過半数を割るような雰囲気がある」(菅義偉前首相)との見方が示されるようになった。
とはいえ、小沢氏は既に82歳。前回衆院選は初めて小選挙区で敗れ、比例代表で復活当選した。自身が率いる党内グループ「一清会(いっせいかい)」は15人程度。1993年と09年に自民党を下野させ、政権を切り盛りした往時の勢いはない。
これを反映するかのように、小沢氏の意中の候補は見えてこない。複数の関係者によると、枝野氏については「衆院選で保守票を取れない」とみて、代表に推すことに消極的。党内では「相次ぐ会談は手札がないことの証しだ」(中堅)と冷ややかな声も漏れる。
[時事通信社]
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