届かなかったあと1点=平野、窮地で見せた意地―卓球〔五輪〕
窮地から追い付き、会場には平野コールも起きた。完全に流れをつかんだはずだった。紙一重だった勝負を物にできず、「このままじゃ負けられない、と思って頑張ったが、勝てなくて悔しい」。目に涙をためた。
序盤はバックハンドの打ち合いで主導権を握られ、平野らしくないミスも続いた。一気に3ゲームを連取されて「いつもだったら心が折れていた」。ここで踏ん張れたのは成長の証しだろう。
サービスで崩し、持ち前のテンポの速いラリーでペースを取り戻す。ポイントを奪うごとに声を張り上げる自身とは対照的に、申裕斌の顔には緊張の色が浮かんでいた。最終ゲームは2度、マッチポイントを握ったものの、バックハンドのミスで奪えず、「思い切って一本を取ることができなかった」と声を落とした。
東京五輪は団体のみの出場で、シングルス代表としては初めての大舞台。同学年のライバル、伊藤美誠(スターツ)と2番手を争ったし烈な選考レースで、一球への執念は強くなった。「卓球が本当に嫌い」で練習から目を背けがちだった3年前の姿とは違う。「最初で最後の五輪かもしれないと思って、後悔がないようにやった」。持てるものは出し尽くした。 (時事)
[時事通信社]
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