「強く美しく」に感謝の念=ラグビー7人制、桑井主審〔五輪〕
「強く美しく」という哲学に、感謝の念を込めた。ラグビー7人制で、桑井亜乃さん(34)が初めて主審を務めた。選手として五輪でプレーした経験もあり、両方の立場で大舞台に立ったのはラグビー界初。「独特の雰囲気が懐かしかったし、選手とは違う形で戻って来られてよかった」と感慨深げだ。
7月28日の中国―ニュージーランド。「私だけの力じゃない。『ありがとう』と伝えたい」。グラウンドに現れると、副審2人と一緒におじぎした。顔を上げると、緊張が解けて笑顔に。トライの瞬間に左腕をびしっと伸ばすなど、6万6000人の前で裁き切った。
2016年リオデジャネイロ五輪で日本女子初のトライ。21年に現役を退き、日本協会の誘いで審判の道を歩んだ。元男子日本代表の堀江翔太さんらに直談判し、リーグワンの埼玉の練習にも参加。ワールドシリーズで実績を積み、今春に五輪審判団への選出が決まると号泣した。
負けず嫌いな一面がある。活動を開始間もない頃に、「ジェスチャーがダサいと言われて火がついた」。長く日本舞踊も学んだ身。ゆっくり手のひらを向けて大きく見せるなど、鏡を見ながら見栄えを突き詰めた。堂々と分かりやすく、優雅な今のスタイルができ上がった。
体力面で負荷のかかる7人制の審判は、この五輪で最後にする考えもある。「審判を続けるなら、15人制に移行してリーグワンを吹きたい。こじ開けていかないと」。3年でたどり着いた夢の舞台の先に、切り開く道がまだある。 (時事)
[時事通信社]
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