黒人侍騒動、「アサシン クリード」開発元が釈明「創作表現の自由」
【パリAFP=時事】フランスのゲーム大手Ubisoft(ユービーアイソフト)は23日、「アサシン クリード」シリーズ最新作に黒人の侍が登場することをめぐり発売中止を求める署名が10万筆近く集まったのを受け、「創作表現の自由」だと釈明した。≪写真は、米カリフォルニア州ロサンゼルスで行われた「アサシン クリード シャドウズ」のプロモーションイベント≫
同シリーズには世界中のさまざまな舞台や時代背景が登場する。戦国時代の日本を舞台にした最新作「アサシン クリード シャドウズ」は11月に発売が予定されている。
プレーヤーが操作可能な主人公は2人。女性の「忍び」の奈緒江と、黒人侍の弥助だ。弥助は16世紀に東アフリカ沿岸でポルトガルの奴隷商人に拉致され、日本に連れて来られた歴史上の人物として描かれている。
だが、Ubisoftがトレーラーを公開した1か月後の6月19日、「歴史的正確性と文化的敬意の著しい欠如」を理由に、発売中止を求める署名運動が日本で開始された。
運動の主導者は、Ubisoftは事実を誤認しているとして、「日本の文化と歴史に対する重大な侮辱であり、(アジア人に対する)人種差別とも受け取られかねない」と非難。弥助の存在には異議を唱えていないが、侍と見なされていたことはないと主張している。署名は23日時点で約9万5000筆に達した。
これを受けてUbisoftは「日本コミュニティーの皆さまへ」と呼び掛ける声明を発表。「創作表現の自由」と「インスピレーションを得た歴史的な舞台」について釈明した。
「『アサシン クリード シャドウズ』の発表以来、多くのご期待をいただいた反面、日本のプレーヤーをはじめとする皆さまからご指摘やご意見も頂戴しました」
「『アサシン クリード シャドウズ』を含む「アサシン クリード」シリーズのゲームは、史実や歴史上の人物を再現する目的で作られたものではありません。プレーヤーの皆さまの好奇心を刺激し、私たちがインスピレーションを得た歴史的な舞台を探求し、知っていただくことを目指しています」
「外部のコンサルタントから歴史家、研究者、Ubisoftジャパンの社内メンバーまで、幅広い関係者の協力を得て進めてきました」
「こうした取り組みにもかかわらず、プロモーション素材の一部に監修が行き届かず、日本の皆さまにご懸念を生じさせることになってしまいましたことを、重ねておわび申し上げます」と表明した。
さらに作中の弥助に関しては、「侍として描写されますが、この点が議論の的となっていることは私たちも認識しております」としている。
侍に詳しいジュリアン・ペルティエ氏は今年3月、弥助について、「魅力的な存在で、もっと多くのことを知りたいが、彼についてはあまり分かっていない。そのため、いろいろなファンタジーで取り上げられている」とAFPに説明した。【翻訳編集AFPBBNews】
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