クマ対策にドローン活用=市街地出没で避難誘導―住民らの安全確保・北海道名寄市
北海道名寄市は、クマが市街地に出没した際、ドローンにより位置を把握した上で住民に避難を呼び掛ける取り組みを始めた。各地でクマに襲われる被害が増える中、住民らの安全確保に加え、迅速な駆除につなげる狙いもある。
環境省によると、2023年度のクマによる人身被害は全国で219人に上り過去最多を更新。今年度も6月末までに34人が被害を受け、うち2人が亡くなった。道警名寄署によると、名寄市内における今年の目撃情報は5月末時点で30件超で、昨年同時期より10件ほど多い。その後も増加傾向が続いたため、同市は6月上旬、同署と、ドローンスクールを運営している名寄自動車学園の3者間で協定を結んだ。
協定では、名寄市はクマの目撃情報が寄せられた場合、同署と協議し、人命に危害が及ぶ可能性が極めて高い場合は、同学園にドローンの出動を要請できる。搭載されたカメラやスピーカーでクマの位置を把握したり、住民を避難誘導したりすることが可能となる。
ドローン活用は、警察官の安全確保にもつながると期待されている。名寄署によると、これまでは警察官が目撃現場に急行しても、追跡中にやぶなどに隠れられた場合には、近づいた際に襲われる危険性があった。今後はドローンのカメラ映像を使うことで、警察官は待機中のパトカー内でクマの動きを捉えることが可能になる。
さらに、映像を基にハンターと連携してクマの駆除にも取り組む。通常、ハンターがクマを射殺できる区域は制限されているが、警察官の指示があれば区域外でも可能なため、ハンターと協力して駆除を進める。名寄署の担当者は「ドローンの導入で、住民や警察官の安全確保に向けて取るべき手段が増えた」と話している。
[時事通信社]
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