米副大統領候補のバンス氏に警戒=支援反対論者、ロは注視―ウクライナ
米大統領選で共和党の副大統領候補に指名されたバンス上院議員について、ロシアが言動を注視する一方、ウクライナは警戒している。バンス氏は、バイデン民主党政権が進めるウクライナ支援に反対する急先鋒(せんぽう)。「ロシアの侵攻は支持しないが、ウクライナが勝利するとは信じない」(英BBC放送)との立場を貫いてきたためだ。
バンス氏は、ウクライナの領土回復は不可能で、対ロ交渉を通じた戦争終結が必要だと主張。ロシアに有利な条件なら停戦を排除しないというプーチン政権の方針と重なる。ロシア国営タス通信などは「(支援を当て込む)ゼレンスキー大統領の訪米は恥だ」といったバンス氏の声を積極的に引用してきた。
ロシアのペスコフ大統領報道官は16日、バンス氏への評価を下すのは「時期尚早」と慎重な立場を示しつつ、これまでの発言は把握していると認めた。
「ウクライナにとって最悪の事態」。バンス氏の指名を受け、米政治専門メディアのポリティコ欧州版は15日、ゼレンスキー政権を支える欧州連合(EU)高官のコメントを伝えた。
ゼレンスキー氏はこれまで「24時間以内に戦争を終わらせる」と豪語するトランプ前大統領に反発してきた。だが、大統領候補指名直前の暗殺未遂が選挙戦でトランプ氏に有利に働くという観測が出ると、15日に記者団の前で「協力できる。心配していない」と説明した。
バンス氏は指名後、FOXニュースのインタビューで「(侵攻を)早期に終わらせ、最大の問題である中国に集中できるよう、トランプ氏はロシアやウクライナと交渉する」と強調した。ただ、ロシアの識者からは、バンス氏の立場が今後、揺れ動く可能性があるという見方も出ている。
[時事通信社]
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