奇襲を首謀、幾度も暗殺未遂=謎多き司令官―デイフ氏
【イスタンブール時事】イスラエル軍が今回標的としたムハンマド・デイフ氏は、イスラム組織ハマスの軍事部門「カッサム旅団」のトップだが、公の場に姿を見せない謎多き人物だ。昨年10月のハマスによるイスラエル奇襲では、首謀者の一人として数年前から準備に当たったとされる。
ロイター通信などによると、デイフ氏は1965年、パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニス生まれ。87年にハマスに入り、第1次インティファーダ(対イスラエル民衆蜂起)に参加した。2002年にイスラエル軍に殺害された前任者に代わりカッサム旅団トップに就任。90年代から2000年代にかけてイスラエルで相次いだ一連の自爆テロを含め、長年テロ活動に関与してきた。
エルサレム旧市街の「アルアクサ・モスク」にイスラエル警官隊が突入した21年の事件に憤って大規模イスラエル攻撃の計画立案に着手したとされ、昨年の奇襲を「アルアクサの洪水」と名付けた。国際刑事裁判所(ICC)の主任検察官は今年5月、人道に対する罪などの疑いでハマスのガザ地区トップ、ヤヒヤ・シンワル氏らと共にデイフ氏の逮捕状を請求した。
何度も暗殺の対象になり、約20年前にイスラエル軍の空爆で手足に重傷を負い、車いすで生活しているとみられる。14年にはイスラエル軍の攻撃で妻や子供らが死亡したという。
イスラエル軍は今年3月、ガザ中部ヌセイラトでの空爆で、カッサム旅団のナンバー2だったマルワン・イーサ氏を殺害。デイフ氏についても、懸賞金を掲載したビラを配って行方を追ってきた。
[時事通信社]
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