子供の願い砕くミサイル=破片の痕、壁に無数―欧州最大規模の小児病院・ウクライナ首都
【キーウ時事】ロシアが8日の大規模ミサイル攻撃で標的の一つにしたウクライナ首都キーウ(キエフ)の小児病院「オフマトディト」。欧州最大規模を誇るこの病院では9日もがれき撤去作業が続けられた。爆発で飛び散った無数の破片がつくった外壁の傷は、病気の早期回復という子供たちの願いを打ち砕いた証しだ。
キーウ駅に近い住宅街に位置するオフマトディトは、がんなどの治療を担う病床数720の専門病院。国外からも患者を受け入れ、年間2万人以上の治療実績を持つ。報道によると、8日の攻撃では巡航ミサイル「Kh101」が建物に命中し、30歳の女医ら2人が死亡、32人が負傷した。院内には600人を超える子供がいたという。
高層の建物は窓が吹き飛び、壁も一部が剥がれていた。敷地内の別の建物は崩れ落ち、作業員が散乱したがれきやつぶれた自動車の撤去作業を進めていた。
がれき除去をボランティアで手伝っていたイリヤさんは「高度治療に使われる最新医療機器が失われた」と憤りを隠さない。敷地の至るところでミサイルの素材と思われる角のとがった金属片が見つかったと話した。
ゼレンスキー大統領は9日、通信アプリへの投稿で「われわれはオフマトディトを元に戻す」と表明。復旧に向けて4億フリブナ(約15億8000万円)を拠出する方針を明らかにした。
松田邦紀駐ウクライナ大使も9日に行われたウクライナへの日本製地雷除去機の引き渡し式で、「野蛮かつ非人道的だ」と攻撃を非難。オフマトディトの復旧が重要だとの認識を示した。
[時事通信社]
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