外交は基本的に路線踏襲=労働党政権、日本重視も継続―英総選挙
【ロンドン時事】英総選挙で勝利した労働党は、保守党政権時代に離脱した欧州連合(EU)との関係強化を目指すなど、外交政策で一定の独自色を打ち出していく方針だ。ただ、ウクライナ支援や国防、アジア戦略といった課題では前政権の路線を基本的に踏襲。新政権でも、対日関係を重視する流れが続くとみられる。
労働党の「影の外相」を務め、新外相就任が有力視されるラミー氏は選挙前の記者会見で、14年間の保守党政権で英外交が「後退した」と批判。EUとの関係や気候変動対策などの重要課題で「根本的リセット」が必要だと強調した。
労働党が特に重点を置くのが、離脱でぎくしゃくしたEUとの関係改善。独仏など欧州の同盟国との関係を再構築し、ウクライナに侵攻するロシアを含む「共通の脅威」に対処するため、新安全保障協定を結んで防衛協力の強化を図る考えだ。EU外相理事会への定期参加も画策するなど、「欧州との関係緊密化」(ガーディアン紙)を志向。EUと距離を置いてきた前政権の方針を転換することになりそうだ。
一方、防衛分野では米英オーストラリアによる安保枠組み「AUKUS(オーカス)」を支持。核抑止体制の継続や北大西洋条約機構(NATO)への積極関与も表明するなど、従来の取り組みを維持する姿勢だ。国防費増額についても、マニフェスト(政権公約)で保守党と同様、対国内総生産(GDP)比2.5%を目標に設定した。
アジアに関しては、保守党政権の「インド太平洋地域への傾斜」構想に倣い、日本との関係強化に力を入れるとみられている。英王立国際問題研究所(チャタムハウス)「世界の中の英国」部のオリビア・オサリバン部長によると、労働党は当初、保守党の構想に批判的だったが、覇権主義的な動きを強める中国を警戒し方針を修正。同部長は「労働党はインド太平洋地域の重要性を認識し、強い関心を持っている。構想は原則として維持される」と分析した。
[時事通信社]
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