亡き人胸に、地域再建誓う=住民、発生時刻に黙とう―能登地震半年
能登半島地震は1日、発生から半年を迎えた。同日時点の犠牲者は281人で、避難者は2086人。甚大な被害が出た石川県輪島市などでは、倒壊した家屋などの多くが今も被災当時のまま残る。住民らは発生時刻の午後4時10分、黙とうをささげて亡き人を思い、地域の再生を誓った。
大規模火災があった輪島市の観光名所「朝市通り」。焼け跡が残り、家屋のがれきは散乱したままだ。発生時刻に合わせ、かつての出店の店主十数人が現場で約1分間黙とうした。朝市組合の冨水長毅組合長(55)は「一日も早い復興ができたら」と決意を新たにした。
朝市通り近くの「わいち商店街」にはブルーシートで入り口を覆った商店が残り、重機による解体が進む。近所に住む中浦あみさん(82)は「この辺りにはもうほとんど人がいない。建物が取り壊され、住民が誰もいなくなったら今後どうすればいいのか」とぼうぜんとした様子だった。
中心部の輪島中学校では4月以降、校舎が損壊するなどした市内6小学校の児童計349人が校舎を間借りし、授業を受けている。鳳至小5年の坂下詩織さん(10)は「4月から担任の先生も代わって不安だった」と心境を吐露。担任の男性教諭(29)は「元の小学校に戻りたい児童もいる。そういう気持ちにどう寄り添えばいいのか難しい」と複雑な表情を見せた。
同様に大きな被害が出た珠洲市。避難所となっている宝立小中学校では、避難所のスタッフや避難者らが黙とうをささげた。地震で知人を亡くしたスタッフの前出勝晴さん(74)は「どうか安らかに。ただそう願った」と話した。
校庭の仮設住宅に住む宮腰千鶴さん(75)は「半年がたち、少しずつ、ほんの数ミリずつ気持ちが前を向けるようになった」と振り返る。「復興は一気にやろうとしても難しい。支えてくれる人に感謝しながら、ゆっくり進んでいければ」と静かに語った。
[時事通信社]
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