トランプ氏、討論会「先勝」=バイデン氏、不安払拭に失敗―4年ぶり直接対決・米大統領選
【ワシントン時事】11月の米大統領選に向けた民主党のバイデン大統領(81)と共和党のトランプ前大統領(78)による第1回候補者テレビ討論会が27日夜(日本時間28日午前)、南部ジョージア州アトランタで開かれた。トランプ氏が移民問題などで激しく責め立てたのに対し、バイデン氏は高齢不安を払拭することができなかった。トランプ氏が約4年ぶりの直接対決で「先勝」したとの見方が広がっている。
終了後のCNNテレビの緊急世論調査によると、「トランプ氏勝利」との回答が67%に上ったのに対し、「バイデン氏勝利」は33%にとどまった。激戦州の支持率で後れを取るバイデン氏は反転攻勢のきっかけをつかめず、逆にアキレス腱(けん)である年齢からくる衰えに焦点が当たる結果となった。
討論会では、選挙の争点となる移民問題と経済でトランプ氏が攻勢に出た。不法移民の急増が「黒人やヒスパニックの職を奪い、社会保障制度を破壊している」と強調し、凶悪犯罪の原因だと指摘。「インフレが米国を殺しつつある」とバイデン氏の経済政策を批判し、その上でバイデン氏を「史上最悪の大統領だ」と非難した。ただ、根拠に乏しい主張も多かった。
バイデン氏はトランプ氏を「有罪評決を受けた重罪犯」と呼び、「大統領にふさわしくない」などと反撃。トランプ氏が2021年1月に連邦議会を襲撃した自身の支持者を「平和的愛国者」とたたえると、「いいかげんにしろ」と声を荒らげた。しかし、声は不明瞭でかすれ、言葉に詰まったり、言い間違えたりする場面もあった。
NBCテレビは、討論会で「大失敗」したバイデン氏に対し、民主党内の一部から撤退を求める声が上がったと報じた。バイデン氏は終了後、記者団に「われわれはよくやった」と強弁したが、8月の民主党全国大会を前に候補者差し替えを求める声すら浮上している。
討論会は通常9~10月に開かれるが、大統領選の4カ月余り前という史上最も早い時期の開催となった。リベラル系のCNNテレビが主催し、聴衆は不在だった。第2回はABCテレビの主催で9月10日に行われる。
[時事通信社]
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