宇宙資源開発で先行も=ハイテク強化狙う―中国月面探査
【北京時事】月の裏側で土壌を採取した中国の無人探査機「嫦娥6号」が地球に帰還した。月の土壌は米国と旧ソ連も採取しているが、裏側からは世界初。中国は得られた知見を国有企業などと共有し、科学技術の振興やハイテク産業の強化につなげる構えだ。宇宙資源開発で先行することを目指す。
「主な任務の一つは新鉱物の探査だ」。中国ニュースサイトの澎湃新聞は今月、嫦娥6号に関する専門家のこうした見方を伝えた。中国は2020年に月の表側から持ち帰った土壌から未知の物質を発見。裏側には核融合の燃料となるヘリウム3や火星などへの探査を行う上で不可欠な大量の水があるとみられている。
宇宙開発に携わる日本政府の関係者は嫦娥6号の成果について「日本も当然注視している」と述べた。その上で、中国は近年、多くの宇宙関連事業を成功させてきたと指摘、「技術力の高まりに驚いている」と語った。
中国メディアによると、これまでに約10万人の研究者や技術者が月の探査事業に参画。ここでの研究内容を基に、人工知能(AI)やエネルギー関連分野で技術革新が起きたという。
中国の宇宙事業は国が主体となって進めているが、部品の設計や開発を通じて国内の幅広い事業者が関与してきた。電気自動車(EV)の分野などでの急速な技術進歩にも「航空宇宙分野での急成長が背景にあるのは間違いない」(日系メーカー)とみられている。
[時事通信社]
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