与党苦戦、大統領に批判=第1回投票まで1週間―仏総選挙
【パリ時事】フランス国民議会(下院、定数577)選挙は30日の第1回投票まで23日で1週間。世論調査では、欧州連合(EU)懐疑派で反移民の極右野党・国民連合が一貫してトップを走る。一方、中道の与党連合は苦戦。議席を半分以下に減らして大敗するという予想もあり、総選挙に踏み切ったマクロン大統領への批判が身内から相次いでいる。
「与党を殺したのは大統領だ」。フィリップ元首相は20日、遊説先でテレビの取材に語った。与党連合の一角を占める政党「地平線」を率いるが、「国民に判断を求めるのが唯一の選択肢だ」と主張するマクロン氏から距離を置いた。
ルメール経済・財務相も同日、政治家は「取り巻きの言うことを聞かず、良心に従って決断する」のが最善だと指摘。マクロン氏は側近の意見に耳を傾け、判断を誤ったと暗に非難した。
フィガロ紙が22日報じた調査結果によれば、予想獲得議席は国民連合が200~240、左派連合が180~210、与党連合が80~110。与党は解散時250議席だったが、第3勢力への後退が現実味を帯びる。
マクロン氏は9日開票のEU欧州議会選での与党惨敗を受け、直ちに下院解散を発表した。大統領選で実績がある「極右包囲網」を再現し、国民連合の勢いを封じる狙いだった。ところが、古巣の社会党は左派連合に合流。中道右派の共和党も一部が極右と連携するなど、想定と異なる展開となっている。
求心力低下の背景には、過去7年間の施政への不信がある。国民は物価高の中で、年金支給開始年齢の引き上げを柱とする改革に直面し、生活不安が増大。「大統領が極右躍進の原動力になっている」(共和党幹部)のが実態だ。
マクロン氏と良好な関係のサルコジ元大統領は、総選挙には「国が混乱に陥り、脱出困難になる」リスクがあると懸念する。世論調査ではどの政党も単独過半数に届かない見込みだが、選挙後1年間は憲法の規定で下院を解散できないからだ。選挙結果がおおむね予想通りで、各陣営の敵対姿勢が変わらなければ、仏政治は不安定な状況が当面続きかねない。
[時事通信社]
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