ロ朝新条約、有事に相互支援=ウクライナ侵攻で「同盟」関係―首脳会談、次回はモスクワ
【ソウル時事】ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は19日、平壌で会談した。タス通信によると、両首脳は会談後、「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名。プーチン氏は侵略を受けた場合の相互支援を定めていると説明し、正恩氏はロ朝関係が同盟水準まで引き上げられたと語った。ただ、正恩氏は「平和を愛する防衛的な性質」だと主張した。
会談冒頭、正恩氏はロ朝関係が「新たな繁栄の時代に入った」と表明。プーチン氏は次回会談のモスクワ開催に期待を示し、正恩氏を招待した。
両首脳が会うのは、正恩氏がロシア極東を訪問した2019年4月と昨年9月に続いて3回目。ウクライナ侵攻を続けるロシアに北朝鮮が弾道ミサイルを輸出するなど軍事協力が進む中、さらなる関係強化に踏み切った。
プーチン氏の訪朝は、1期目就任直後に正恩氏の父である故金正日総書記と会談した00年7月以来24年ぶり。ロシア政府専用機が予定より遅れて到着したとみられる19日未明(日本時間同)、平壌の空港で正恩氏が出迎えた。
西側諸国との対立を背景に、ロシアは北朝鮮の核・ミサイル開発を擁護する姿勢。プーチン氏は共同記者発表で、自国に対する制裁を批判するとともに、国連安保理の対北朝鮮制裁決議を見直すべきだと訴えた。一方の北朝鮮は、武器供与の見返りにロシアから軍事技術の提供を受けたとされる。
「同盟」に近づいた両国の軍事協力は北東アジアの安全保障環境にも影響を与えかねず、日米韓などが懸念を強めている。理論上は、朝鮮半島有事にロシアが介入したり、プーチン政権が祖国防衛と位置付けるウクライナ侵攻に北朝鮮が参戦したりする可能性もゼロではなくなる。
プーチン氏は平壌で、第2次大戦の対日参戦で戦死したソ連兵の記念碑に献花。会談では「1945年にソ連兵は日本の侵略者から朝鮮半島を解放するため(抗日パルチザンと)共闘した」という歴史観を披露した。対ロ制裁を科す「非友好国」日本をけん制した形だ。
北朝鮮での日程終了後、プーチン氏は次の訪問国ベトナムの首都ハノイに移動。20日まで滞在し、最高指導者グエン・フー・チョン共産党書記長らと会談する。
[時事通信社]
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