中朝の対ロ協力けん制=東・南シナ海の威圧行動反対―G7サミット閉幕
【ファサーノ(イタリア南部)時事】イタリアのプーリア州で開かれていた先進7カ国首脳会議(G7サミット)は14日(日本時間15日)、首脳声明を採択して閉幕した。ウクライナ侵攻を続けるロシアに対して軍事面で協力する中国と北朝鮮を名指しでけん制。東・南シナ海での中国による威圧行動にも深刻な懸念を表明した。
声明は「必要とされる限り、自由と復興のためのウクライナの戦いを支援する」と強調。制裁で凍結されたロシア資産を活用し、ウクライナへ年内に500億ドル(約7兆8500億円)の融資を実行するとした。侵攻に伴う損害をロシアに賠償させる考えも示した。
また、制裁回避を防ぐため、これに関与する中国など第三国の金融機関などを対象に制裁を科す方針を打ち出した。
中国の対ロ支援に「深刻な懸念」を表明。「ロシアの防衛産業基盤への中国の支援はウクライナにおける違法な戦争継続を可能としている」と危機感を示した。
北朝鮮については、ロシアへの弾道ミサイル輸出は国連安全保障理事会決議違反だと指摘。拡大するロ朝の軍事協力を「可能な限り最も強い言葉で非難する」と記した。
インド太平洋情勢を巡っては、中国の海洋進出に関して「力または威圧による一方的な現状変更の試み」に強い反対を表明。中国とフィリピンの船舶衝突事案を取り上げ、「中国の軍事化、威圧的かつ脅迫的な活動に反対する」と強調した。
中国発のサイバー攻撃に対抗する方針を明記。「台湾海峡の平和と安定」の重要性を訴え、台湾の世界保健機関(WHO)など国際機関へのオブザーバー参加を支持する立場を明確にした。
中国が反発する東京電力福島第1原発の処理水放出については「安全で透明性の高いプロセスを支持する」とした。
北朝鮮による弾道ミサイル技術を使った衛星打ち上げを強く非難。拉致問題の速やかな解決を求めた。
中東情勢では、パレスチナ自治区ガザにおける即時停戦や人道支援の「大幅かつ持続的な増加」が必要だと指摘。バイデン米大統領が5月末に公表した停戦案への全面支持を確認した。
[時事通信社]
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