規正法に新たな「抜け穴」=領収書黒塗り?保存義務も不明確―岸田首相曖昧、野党は追及継続
後半国会で最大の焦点となっている政治資金規正法改正案の審議が一つのヤマ場を越えた。自民党の再修正案が5日に衆院政治改革特別委員会で可決、6日に衆院を通過する見通しとなった。ただ、立憲民主党などは新たな「抜け穴」を指摘。岸田文雄首相(自民総裁)の説明は曖昧さが残り、野党は参院審議でも徹底追及を続ける方針だ。
「(領収書公開に関して)黒塗りが認められるらしい。誰が範囲をどういう基準で決めるのか」。首相が出席した5日の衆院特別委で、立民の岡田克也幹事長は自民案での政策活動費の使途公開に疑念を投げ掛けた。
政党から議員に支給される政策活動費を巡っては、国政選挙の「裏金」に充てられた疑惑も浮上する。自民は使途公開に消極的だったが、日本維新の会を抱き込むため一転して「10年後の領収書公開」を受け入れた。ただ3日の特別委で、自民の法案提出者である鈴木馨祐氏は「プライバシー、企業団体の秘密保護は考慮しなくてはいけない」と答弁し、領収書を「黒塗り」する可能性を示唆した。
首相は岡田氏の追及に対し、「党の戦略的な取り組みが外部に知られる点も配慮し、具体的なルールをこれからつくっていく」と述べるにとどめ、公開範囲を限定する選択肢を否定しなかった。
領収書の保存義務もあやふやだ。国民民主党の長友慎治氏は「印字が消え、ぼろぼろになる領収書も少なくない」と指摘。「10年後に不正が発覚しても規正法、所得税法も時効。誰も罰せられないのではないか」と迫ったが、首相は「精緻さを欠くわけではない」などと正面から答えなかった。
立民や共産党は企業・団体献金の禁止を求め続けたが、自民は突っぱねた。首相は「さまざまな収入を確保することが重要。政策がゆがめられたことはない」と存続を明言した。
政治資金パーティー券購入者の公開基準を「1パーティー当たり5万円超」に引き下げることについて、共産の塩川鉄也氏は「(パーティーが)4回あれば(現行の)20万円超と同じではないか」と指摘。引き下げ時期が2027年1月で、それまでは現行基準が続くことも問題視した。これに対し首相は「バランスを考えたのが今回の結論だ」と述べ、収入維持が重要との姿勢をにじませた。
7日から始まる見通しの参院審議で、野党は自民案のほころびを問いただす考え。立民の安住淳国対委員長は5日の党会合で、「10年後の領収書公開」について「自民は喜んでいるのではないか。来年から開示すればいい。徹底的に矛盾、いい加減さを突いていきたい」と強調。国民の玉木雄一郎代表も「結局ブラックボックスのままだ。穴をふさぐ徹底した議論を行いたい」と語った。
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