不登校の子に学びの場=自治体の助成拡大―NPO「国として推進を」
全国の小中学校で不登校の児童生徒が計約30万人に上る中、フリースクール利用料などについて、自治体が一部を助成する取り組みが近年広がっている。「多様な学びの場」を確保するのが目的で、民間の支援団体はこうした動きを歓迎。ただ「地方ではまだ少ない」といい、国による後押しの必要性を訴えている。
東京都豊島区に住む会社員の女性(46)は、小学校入学直後に不登校になった長男(9)をフリースクールに通わせて2年半になる。当初は夫と交互に仕事を休んだり、コロナ禍に伴う在宅勤務を活用したりできたが、リモートワークはほどなく終了。公的な施設の利用も検討したものの、条件が合わなかった。
「老後の蓄えはなく、将来は生活保護も覚悟している」という現状で、月約5万円の負担は家計に重くのし掛かる。それでも「人との関わりは持ち続けてほしい」と何とかやりくりを続けている。
そうした中、都は2年前から行っている実態調査を踏まえ、今年4月から月上限2万円までの助成事業を開始した。女性は「すごく助かる」と感謝する一方で、全額補助や施設への助成による利用料減額に期待を寄せる。
フリースクールなどの月平均利用料は、2015年の文部科学省調査では約3万3000円、都が昨年行った調査では約4万3000円に上る。
自治体による助成は各地で行われており、月1万~4万円程度で上限を設けているケースが多い。所得要件がある場合もある。4月からは、東京都のほか福岡県大野城市や大分県日田市も助成を開始。仙台市は施設に通う交通費を助成する。
NPO法人「登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク」(東京)によると、子どもの不登校をきっかけに世話をする親の早退や遅刻、欠勤が増え、収入が減るだけでなく、中には退職に至るケースもある。22年に行った全国アンケートでは「収入が減少」は31.0%に上り、「ほぼゼロになった」も2.6%だった。
同法人の中村みちよ共同代表は「経済的な支援が広まっていることは良いことだが、地方ではまだ少ない」と指摘。上限額や要件も自治体によってまちまちで不公平感が生じかねないとして、「国が全国一律の支援制度を推進するべきだ」と訴えた。
[時事通信社]
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