ヤリイカの大小、誕生時期が関係=頭の中の「石」から解明―東京大
家庭の食卓でよく食べられる「ヤリイカ」の雄は、卵からかえった時期によって大きさや繁殖方法が変わることを、東京大の研究チームが明らかにした。ヤリイカの頭部にある「平衡石」を利用し、ふ化日を調べて解明した。論文は3日までに英学術誌に掲載された。
ヤリイカは1~5月が繁殖期で、卵は4~8月にふ化するとされる。雄は、平均体長が約30センチの大型と約15センチの小型に分かれており、大きさによって繁殖方法も異なる。
大型は「ペア雄」と呼ばれ、他の雄と争った上で雌とペアになるが、「スニーカー雄」と呼ばれる小型は、交尾するペアにこっそり割り込んで繁殖する。
東京大大学院の細野将汰さんや同大大気海洋研究所の岩田容子准教授(行動生態学)らは、宮城県沖で採れたヤリイカの雄135匹を解剖し、体の傾きを検知する頭部の「平衡石」を調査。石には1日ごとに年輪のような線が刻まれており、ふ化した日などを推定することができる。
その結果、4、5月に生まれた個体は全てペア雄だったが、徐々にスニーカー雄の割合が増加。8月に生まれたのは全てスニーカー雄だった。いずれもふ化してから100日までの大きさには差はなかった。
繁殖方法が誕生時期によって変わる「誕生日仮説」は、ハゼなどの魚類で3例報告されていたが、無脊椎動物では今回の研究が初めてという。
岩田准教授は「繁殖方法や大きさの違いはふ化した時期の水温が関係している可能性がある。気候変動で海水温が上昇すれば、ヤリイカの大きさが変化することも考えられる」と話した。
[時事通信社]
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