糖尿病薬で老化細胞除去=マウスで確認、加齢疾患への応用期待―順大
糖尿病治療薬をマウスに投与したところ、加齢に伴い蓄積され、動脈硬化などの原因となる「老化細胞」を除去する効果を発見したと、順天堂大大学院の研究グループが発表した。心身機能が衰える「フレイル」の改善や寿命延長などが確認され、グループは「アルツハイマー病を含めた加齢関連疾患治療での検証や、ヒトへの臨床応用が期待される」としている。論文は30日付の英科学誌「ネイチャー・エイジング」オンライン版に掲載された。
研究グループは、カロリー制限でサルの寿命が延び、老化細胞の蓄積も抑制されたとする研究結果に注目。肥満させたマウスに対し、尿中に糖を排出する「SGLT2阻害薬」を1週間投与することで、老化細胞が除去されるか検証した。
その結果、マウスの内臓脂肪に蓄積した老化細胞は除去され、肥満に伴う代謝異常が改善。免疫細胞の働きを抑制するたんぱく質「PD―L1」の分解を促進することで、免疫系が活性化し、フレイルの改善や寿命延長も確認できたという。
老化細胞を除去する薬は、多くが抗がん剤として使用されており、副作用の懸念があった。研究グループの南野徹教授は「副作用は非常に少なく、人にも応用可能と考えている。臨床研究も慎重に進めていきたい」と話している。
[時事通信社]
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