対中関係改善に腐心=ロ朝密着けん制図る―韓国
【ソウル時事】27日の日中韓首脳会談を契機に、議長国である韓国の尹錫悦政権は対中関係の改善に腐心した。北朝鮮がロシアとの軍事協力を深め、核・ミサイル開発にまい進していることに危機感を募らせているためだ。米国と対立する中国、ロシア、北朝鮮の結び付きにくさびを打ち込み、北朝鮮に圧力をかけることを目指した。
「意思疎通を続けていけば、共通の利益を追求し、域内の平和と繁栄を共に築いていける」。尹大統領は26日、中国の李強首相にこう語り掛けた。その上で「国連安保理常任理事国として平和のとりでの役割を果たしてほしい」と要求。北朝鮮の安保理決議違反に積極的に対応するよう促した。
尹政権が「最大の脅威」と位置付ける北朝鮮はウクライナ侵攻を続けるロシアへの接近を強め、安保理決議違反の武器供与の見返りに軍事偵察衛星の技術支援などを受けたとされる。韓国は、ロ朝の密着に一定の距離を置く中国を引き寄せ、北朝鮮が狙う日米韓対中ロ朝の「新冷戦」の構図を揺さぶろうとした。
27日の共同記者発表で尹氏は「朝鮮半島の平和と安定の維持は3カ国の共通の利益と責任だと再確認した」と成果を強調した。ただ、尹氏と岸田文雄首相が北朝鮮の衛星発射予告を非難した一方、李氏は言及を避け、日韓と中国の立場の違いが浮き彫りになった。共同宣言でも核問題で一致した見解を示せず、「朝鮮半島の完全な非核化」を共通の目標とした前回文書より後退した。
中国の姿勢変化は見えず、韓国政府関係者は会談後、「最近の地政学的状況を考えると中国と過去と同じような合意をするのは難しい」と説明した。
一方、中韓2国間関係は、尹氏が昨年、台湾情勢を巡り「力による現状変更に反対だ」と明言したことに中国が反発するなどぎくしゃくしてきた。とはいえ、中国は依然として韓国の最大の貿易相手国。韓国が議長国となる来年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で習近平国家主席が訪韓することも念頭に、日米韓3カ国の連携を強化しつつ、中国とも「相互尊重」(韓国高官)で歩み寄りたいというのが本音だ。
[時事通信社]
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