政治資金チェック機関創設を=飯尾潤・政策研究大学院大教授―政治改革・識者インタビュー(1)
―自民党の派閥裏金事件への所感は。
有権者と政治家のずれをあからさまにし、政治不信の段階がかなり進んでしまった。それに政治家は気付いていない。(自民議員の)多くが何とかやり過ごそうとしている。
―自民は安倍派議員ら39人を処分した。
道筋がふらふらし、定見があるとは思えない。
―政治資金規正法改正は「連座制」導入が焦点となる。
政治家が責任を負う制度は一つの選択肢だが、罰則は公民権停止とは限らず、軽くてもいい。厳罰化すれば裏道作りにつながるし、捜査機関も証拠固めが困難になり、大目に見ることになる。軽くてもしっかりと摘発される罰則の方が健全だ。
―企業・団体献金は禁止すべきか。
例えば政策実現のために献金したいと言う環境保護団体まで禁止するのか。企業の社会的責任が問われる時代に献金を全く否定するのがいいのか。完全に禁止する理由はそれほどない。
―規正法改正のポイントは。
内閣から独立した(政治資金収支報告書の)チェック機関は置いた方がいい。首相や閣僚の指揮下になければ与野党は安心して委ねられる。世間の常識に近づく。
―選挙制度の問題点はないか。
今の衆院の小選挙区比例代表並立制はそれなりに機能しているが、例えば惜敗率による比例当選をやめ、党中心の選挙にしなければならない。派閥が存在するのは個人で選挙をしているからだ。お金がかかるのもそのためだ。
―国会審議で与野党に求めることは。
普通の法案審議と違っていいのではないか。数の力で押し通さず、政治家がそれぞれの見識を持って議論し、いい制度を考える姿を国民に見せなければならない。成案を作るのに1~2カ月はかかる。委員会設置が遅く、国会会期を延長しなければまともな議論はできない。議論を信頼回復のチャンスにしなければならない。
[時事通信社]
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