インフレ、なお頭痛の種=バイデン氏、強い雇用生かせず―米大統領選
【ワシントン時事】11月の米大統領選で再選を目指すバイデン大統領にとって、沈静化しないインフレが依然として頭痛の種だ。米国のインフレの伸びはピークから大幅に鈍化したが、今年に入って鈍化の動きはほぼ止まった。根強い物価高は有権者の景況感の重しとなっており、バイデン氏は強い雇用情勢の「追い風」を生かせずにいる。
「偉大な米国の復活が続いている」。バイデン氏は3日の声明で、就任以来1500万人以上の雇用が創出されたと成果を誇った。同日公表された雇用統計では失業率が3.9%と、27カ月連続で4%未満を記録し、歴史的な低水準を維持している。
だが、有権者の景気への見方は厳しい。米ハーバード大などが4月公表した世論調査によると、約5割が「個人的な経済状態が悪化した」と回答。個人的に最も重大な問題として42%がインフレを挙げ、大統領選で最大争点の一つとされる移民問題(18%)を大きく上回った。
一方で賃金上昇率は年4%前後と、インフレ率を上回っており、実質賃金は増加している。イエレン財務長官は4月30日、下院歳入委員会で「物価高にもかかわらず、総じて暮らし向きは良くなっている」と強調した。
しかし、家賃や自動車保険といった生活実感に影響しやすいサービス分野の価格上昇が収まらず、物価高への懸念はなかなか払拭されない。バイデン氏も「やるべきことがもっとある」と認め、住宅建設促進を通じた家賃や持ち家のコスト押し下げなどに努める意向を示した。
大統領選で共和党の候補指名を確定させたトランプ前大統領は今月1日、中西部ミシガン州で演説し、「バイデンはインフレで失敗した」と批判。物価高問題で攻勢を強めている。
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