2024-05-05 05:04政治

アイヌ差別、罰則求める声=自民・杉田氏投稿で論議

 アイヌ民族への差別を禁じたアイヌ施策推進法は、24日で施行から5年を迎える。同法付則は、5年の経過後に施行状況を検討し、必要があれば「所要の措置を講ずる」と明記。自民党の杉田水脈衆院議員による差別的投稿をきっかけに、罰則規定を求める声が強まっているが、政府は慎重姿勢だ。
 杉田氏は2016年、国連の会議に出席した際に「アイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。同じ空気を吸っているだけでも気分が悪くなる」と自身のブログに投稿。昨年9月に札幌法務局から人権侵犯と認定された。アイヌ関連事業を巡り、「公金チューチュー」と関係者をやゆするなど、その後も物議を醸す言動を繰り返している。
 同法は、アイヌに対する差別を禁じているが、罰則規定はない。アイヌや学者らによる「アイヌ政策検討市民会議」のジェフリー・ゲーマン代表は「現行法は全く効果がない」と訴える。
 野党からは、速やかな対応を求める声が上がる。立憲民主党の水岡俊一参院議員会長は、2月の参院代表質問で「今こそ改正の検討を始めるべきだ」と主張。別の立民幹部も「政府はこの問題を真剣に受け止めてもらいたい」と強調した。
 ただ、政府内で法改正の機運は乏しい。政府関係者は、アイヌ差別のみに罰則を設けると他の差別行為との整合性が問われると指摘。「現在も名誉毀損(きそん)罪や侮辱罪で訴えることはできる」との認識を示した。 
[時事通信社]

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