見直し後初の「上げ馬神事」=「虐待」批判受け改善―三重・多度大社
騎手が乗った馬が急な坂を駆け上がる伝統行事「上げ馬神事」が4日、多度大社(三重県桑名市)で行われた。「動物虐待」との批判を受け、頂上付近の土壁を撤去するなどの改善策を導入してから初の開催となった。5日も実施する。
上げ馬神事は毎年5月に行われ、土壁を乗り越えた馬の数で農作物の作柄を占う。しかしコロナ禍で4年ぶりの開催となった昨年、1頭が転倒して骨折し、殺処分に。これまでにも同様の殺処分があったほか、馬を鼓舞するためにむちでたたいたり、大声で威嚇したりする行為もあり、動物虐待との批判が相次いだ。
これを受け、大社は有識者検討会を設置。坂を緩やかにし、土壁を撤去することや、馬への暴力や威嚇行為を行わないなどの改善策を2月に公表していた。
この日は馬に乗った若者らが勇壮な走りを見せ、観客から歓声が上がった。運営する多度大社御厨総代会代表の伊藤善千代さん(75)は終了後、「思ったよりうまくいった」とほっとした表情で話した。
見物に来た男性(77)=岐阜県海津市=は「上がれるか上がれないかが勝負だった。醍醐味(だいごみ)がない」と物足りなそうだった。一方、愛知県の60代女性は「盛り上がり方は違うが、安全面が確保されて良かった。時代の流れで変わっていくのもありだと思う」と語った。
[時事通信社]
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