2024-04-27 18:24

為替介入のタイミング焦点=34年ぶり円安、1日で3円急落

 円安が止まらない。円相場は27日早朝の外国為替市場で1ドル=158円40銭台まで下落し、約34年ぶりの安値を更新。1日足らずで約3円急落した。円安による物価上昇を懸念する声も大きくなっており、政府・日銀がどのタイミングで為替介入に踏み切るかが焦点だ。
 26日正午をすぎ、日銀が金融政策決定会合で政策金利の現状維持を決めたと公表する直前、円相場は155円台半ばだった。植田和男総裁が会合後の記者会見で円安について「基調的な物価上昇率への大きな影響はない」などと述べると、会見中に156円台に下落した。
 さらに、同日夜に発表された米国の物価指標が根強いインフレを示す内容だったため、米利下げ観測が後退。日米金利差を意識した円売り・ドル買いが加速し、27日早朝に158円台に突入した。
 円相場の下落幅は、年初の141円前後から約4カ月間で1割を超えた。
 日銀の会合が終わったことで、注目点は政府・日銀が介入に動くかどうかだ。米国では30日から2日間、金融政策を決める米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。市場では、政府・日銀の「防衛ライン」と警戒していた155円を超えても介入が見えない背景に、FOMC後に円売り・ドル買いが進めば介入効果がそがれるためではないかとの見方もある。
 政府は今のところ円安をけん制する「口先介入」のトーンを強めていないが、行き過ぎた円安には経済界から輸入物価上昇によるコスト増や消費者マインドへの悪影響を心配する声が増大している。鈴木俊一財務相も26日の閣議後記者会見で、物価高など「(円安の)マイナス面の懸念を持っている」との認識を示している。
 政府は為替介入への地ならしを進めている。鈴木氏は先の訪米で17日にイエレン米財務長官らと日米韓財務相会合を開き、「最近の急速な円安・ウォン安に関する日韓の深刻な懸念を認識する」と明記した共同声明をまとめた。同日の先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では「為替レートの過度の変動は経済に悪影響を与え得る」とする過去の合意を再確認した。介入を実施する根拠となってきた合意だ。
 鈴木氏は26日の国会で「合意を踏まえ、関係通貨当局と密接に意思疎通を図り、万全な対応を取っていきたい」と強調した。 
[時事通信社]

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