「退職代行」の利用急増=新卒から70代まで、GW明けも?
退職手続きを本人に代わって行うサービスが急拡大している。新興企業アルバトロス(東京)の「退職代行モームリ」は、4月の利用者数が新卒者を中心に26日時点で約1200人に到達。3月の約700人を大きく上回り、単月の過去最高を記録した。認知度も上がり、最近では退職の申し出をすんなり受け入れる企業が増えたという。長期休暇の後に利用が増える傾向があり、同社はゴールデンウイーク(GW)明けに依頼が殺到するのではないかと予想する。
「正社員に応募したのに、入社したら契約社員だった」「退職届を出したら破られた」。アルバトロスの谷本慎二代表取締役によると、退職理由は20~30代の若年層なら入社前に伝えられた業務や契約内容との違い、それよりも上の世代はパワハラが多い。利用者の約6割を若年層が占めるが、中には70代の利用実績もあり、谷本氏は「若年層だけのサービスではない」と話す。
退職代行は有給消化の申請も含め、すべての手続きを代行するため、利用者は上司らとのやりとりが一切生じない。勤め先は有名な大手企業も少なくないが、直属の上司がオーナーや社長というケースが多い中小企業の割合が高い。谷本氏は、その理由を「退職を認めなかったり、先延ばしにされたりするためだ」と分析する。
実際に利用した経験のある男性(36)は「人間関係が濃密な小さい会社ほどメリットがある」と語る。以前勤務していた電気工事関係の会社は知人が社長を務めていた。長時間労働の強要や暴言をきっかけに退社を決断したが、「辞める人には給与を払わない」とも言われ、交渉が困難だと感じて利用を決めた。
退職代行業の草分け、EXIT(東京)の岡崎雄一郎代表取締役は「利用者は『ダサい』と評価されがちだが、辞める労力をアウトソース(委託)しているだけだという認識に変われば、利用者はより増える」と予測する。代行サービスの今後について、谷本氏は「使われたくない企業も増えているはず。それが抑止力になり、企業の体質改善につながればいい」と話した。
[時事通信社]
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