悪質ないたずら「スワッティング」、大統領選控える米国で脅威増す
【ワシントンAFP=時事】米国の政治ストラテジスト、リック・ウィルソン氏は、夜中に自宅のドアをたたく音に驚き、下着姿で外に出た。そこには銃を構えた警官がいた。警察はまたもや、悪質ないたずらに対処していたのだ。米国で重要な選挙が行われる今年、こうしたいたずらがますます脅迫の道具と見なされるようになっている。≪写真は米連邦議会議事堂≫
この数か月間、選挙関係者や裁判官、政治家(所属政党問わず)が「スワッティング」の被害にあっている。これは、暴力犯罪が起きていると警察に偽の通報をして大々的に対応させるという、死者が出る可能性すらある悪質ないたずらだ。
11月の大統領選では再び、ジョー・バイデン大統領とドナルド・トランプ氏による戦いが繰り広げられると広く予想される中、観測筋は大統領選が暴力、外国の影響、偽情報の脅威にさらされていると指摘する。そして、スワッティングがさらなる懸念をあおっている。
政治家を狙ったスワッティングの複数の事例に似た手口が使われていることから、組織性が疑われている。いたずらの実行者が緊急番号911に電話し、妻やガールフレンドを撃ったこと、そして自殺を計画していることを「告白」。警察を出動させるにはこれで十分なようだ。
ジョージア州選挙管理当局トップのガブリエル・スターリン氏は1月、全米の複数の州議会議事堂に爆破予告があったとオンラインに投稿したところ、わずか数時間後にスワッティングの被害にあった。
スターリン氏によると、同氏の自宅で「麻薬取引が失敗した」との偽の911番通報があったことが発端となったという。
FBIは昨年、国内で約600件のスワッティングを突き止めたと発表。この犯罪は「増加傾向にあるようだ」との見解を示した。
政治家や選挙関係者が巻き込まれたスワッティングの件数はまだ不明であり、被害者全員が被害を報告しているわけでもない。しかし、著名人の被害が相次いでいることには、警戒を要する。
ここ数か月で標的になったのは、トランプ氏が関与する連邦裁判を監督するタニヤ・チャットカン判事、トランプ氏の2件の訴追を監督するジャック・スミス特別検察官、共和党のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員らだ。
スワッティングという呼称は、緊急事態への対処で頻繁に派遣される重武装の部隊「SWAT」に由来する。FBIによれば、2000年代初頭に最初の事例が発生。有名人への嫌がらせや、オンラインゲームのコミュニティーが互いを標的にしたケースなどがある。【翻訳編集AFPBBNews】
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