犯罪被害、遺族給付金を増額=最低1060万円に―警察庁
警察庁は25日、犯罪被害者の遺族らに国が給付金を支給する犯罪被害給付制度について、ほとんどのケースで最低額を現行の320万円から1060万円に増額する改正案を公表した。パブリックコメントを経て、6月中の実施を目指す。
犯罪被害者が加害者から損害賠償を十分に受け取れていない実態があり、政府は昨年6月、給付金の大幅な引き上げを検討すると決定。警察庁の有識者検討会が今月16日、増額を提言した。
遺族への給付金は、事件前の被害者の収入と年齢に応じた基礎額などから算出する。被害者が幼い子どもの場合、遺族が受け取るのは最低額の320万円となり、検討会は「十分でない」と指摘。残された家族がショックから働けず、経済的に打撃を受けるケースもあり、最低額の引き上げと、被害者の収入によらない新たな支援を求めていた。
警察庁によると、2022年度に支給が決まった遺族給付金の平均は743万8000円。交通死亡事故で支払われた自動車損害賠償責任(自賠責)保険の平均約2514万円(21年度)を下回っている。検討会は「他の公的給付と同水準に引き上げるべきだ」としていた。
改正案では、基礎額の最低が少なく設定されている年齢層について、一律6400円に引き上げる。収入の有無などを問わず、配偶者や父母、子どもが受取人となる場合は、基礎額に4200円を加算。養っていた家族の人数に応じた倍数を掛け、原則1060万円以上受給できるようにする。犯罪により休業を迫られたり、障害が残ったりした被害者本人への給付金も、最低基礎額を増額する。
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