2024-04-23 21:45政治

自民、規正法「小手先」見直し=政活費、企業献金に踏み込まず―野党「改革に値せず」

 自民党は23日の党会合で、派閥裏金事件を受けた政治資金規正法改正の独自案をまとめた。焦点の一つだった政策活動費や企業・団体献金の扱いなどにはほぼ触れず、見直しが「小手先」にとどまった印象は拭えない。党内で議論を尽くした形跡もなく、野党は「改革案と呼ぶに値しない」(立憲民主党の泉健太代表)などと批判を強めた。
 裏金事件では、政治資金収支報告書の不記載について「知らなかった」と釈明する議員が続出。規正法違反があった場合に議員本人の責任も問う「連座制」が論点となった。使途公開の必要がない巨額の政策活動費が党幹部に流れたことも問題視された。
 このうち、連座制を巡って独自案は収支報告書に議員の「確認書」添付を義務付けた。会計責任者が処罰された際、議員が適切にチェックせず確認書を交付したと認められれば、罰則を科すと規定。「秘書が悪意を持ってやった」と言い逃れる余地が残された格好で、参加者からも「連座制を明確にすべきだ」との声が上がった。
 独自案はまた、冒頭で「政党による収支構造の違いがある中、全ての課題を一朝一夕に解決することは困難だ」と強調。二階俊博元幹事長が在任中に約50億円を受け取ったとされ、野党が「究極の裏金」と指摘する政策活動費の見直しは、今後の検討課題の位置付けにとどまった。
 「政治団体はさまざまな収入を確保することが核心的に重要だ」などと企業・団体献金の必要性をほのめかす記述も盛り込まれた。
 自民は当初、独自案をまとめない方針だった。急きょ方針転換したのは、19日に岸田文雄首相が国会答弁で踏み込んだためだ。そこから全議員を対象とする23日の会合まで、独自案の準備期間はわずか4日間。にもかかわらず、議論は淡々と進み、わずか1回で内容を大筋了承した。
 「何をやっても評価されないなら、自分の首を絞めることはしない」。党幹部はこう言い放った。
 立民の泉代表は23日の党会合で「政策活動費や企業・団体献金は禁止し、政治資金パーティーもやめるべきで、自民はゼロ回答だ」と指弾。法改正に向けた国会審議で厳しく追及する姿勢を強調した。国民民主党の玉木雄一郎代表も記者会見で「(独自案を)小出しにする態度が大きな不信感を招いている」と批判した。 
[時事通信社]

最新動画

最新ニュース

写真特集