ウクライナ大統領が謝意=米下院の支援法案可決で
米下院がウクライナ支援法案を可決したことを受け、ゼレンスキー大統領は20日、「歴史を正しい軌道に乗せてくれた」として、民主、共和両党に謝意を示した。可決後にX(旧ツイッター)に投稿した。同日のビデオ演説では「(ロシアの)プーチン大統領が負けるべき戦争の終結に近づく」と歓迎した。
ロシアによる侵攻が長引く中、ウクライナは防空兵器などが枯渇して前線で主導権を喪失。法案が通らなければ「(ゼレンスキー政権は)年内に敗北する危険性が高い」(バーンズ米中央情報局=CIA=長官)との見方も出ていた。
ゼレンスキー氏はXで「(法案は)戦争の拡大を阻止し、何千人もの命を救う」と評価。「平和と安全保障は力によってのみ達成される」と強調した上で「ありがとう、米国!」と書き込んだ。
ただ、ウクライナは安泰というわけではない。シルスキー軍総司令官は最近、ロシアが目に見える戦果を得ようと「(旧ソ連の対ドイツ戦勝記念日の)5月9日までに(東部ドネツク州の要衝)チャソフヤル占領を目指している」と指摘。チャソフヤルが陥落すれば、同州全域制圧につながりかねないとも言われており、兵器供給は待ったなしで、ゼレンスキー政権の危機感は強い。
北東部ハリコフ州では、国境を接するロシア西部からの攻撃が活発化。プーチン政権が、ハリコフ州を「緩衝地帯」として占領するシナリオがささやかれている。その場合、ロシアは追加動員で兵力を増強するとみられ、ウクライナ側も対応するために大規模な動員を余儀なくされる可能性がある。
[時事通信社]
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