米、拒否権に批判避けられず=同盟国の日韓仏は賛成―パレスチナ国連加盟案
【ニューヨーク時事】バイデン米政権は18日、パレスチナの国連加盟を勧告する安全保障理事会の決議案採決で拒否権を発動した。イスラム組織ハマスがパレスチナ自治区ガザを支配している状態では「時期尚早だ」と主張したが、安保理15カ国中、同盟国の日韓仏を含む12カ国は賛成。反対は米国のみで、イスラエル擁護を続ける米国への批判が一層強まることは避けられない。
国連に加盟するには、安保理が勧告を出す必要がある。パレスチナは今月2日、「加盟申請の再検討を望む」と表明。安保理は下部組織の審査委員会を開いて協議したが、全会一致を意思決定の条件とする同委での議論は決裂し、非常任理事国のアルジェリアがアラブ諸国を代表して安保理に直接、勧告決議案を提出した。
米国はかねて反対の姿勢を明確にしており、採択の見込みはなかった。それでもアラブ諸国が強行採決に踏み切った背景には、ガザで戦闘を続けるイスラエルとハマスの休戦交渉が行き詰まる中、事態打開の機運を高める狙いがあった。
戦闘は既に7カ月目に入り、国連本部のあるニューヨークでは名門コロンビア大でパレスチナへの連帯を示すデモが過激化し、18日には100人超が逮捕された。
18日の採決では、パレスチナを国家承認していない日本は棄権に回るとの観測もあった。上村司・中東担当政府代表は、今回の賛成票は「国家承認とは別だ」と強調。12カ国が賛成したことは「(パレスチナ国家樹立を前提とした)2国家解決しか『もう道はない』との共通認識が強まったということだ」と分析した。
パレスチナは2011年にも国連加盟を申請した。ただ、この時も米国が拒否権行使を明言したことなどから採決を棚上げ。翌12年に「オブザーバー機構」から現在の「オブザーバー国家」に地位を格上げする総会決議採択に戦略を変更した経緯がある。オブザーバーは会合に参加できるが、投票権はない。
今回の米国の拒否権行使を受け、総会は近く米国に説明を求める会合を開く。アラブ諸国は改めて米国やイスラエルに圧力をかける構えだ。
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