中国海運企業が存在感=紅海経由が強みに
【北京時事】アジアと欧州を結ぶ海運事業で中国企業が存在感を高めている。イエメンの武装組織フーシ派が紅海で外国商船を相次ぎ攻撃しているため、日本や欧州の船舶はアフリカ大陸南端の喜望峰を経由する迂回(うかい)ルートに航路を変更。一方、フーシ派の標的となっていない中国船は、紅海ルートを使えることが強みになっている。
英調査会社によると、イスラエルのガザ侵攻に反発したフーシ派が外国船への攻撃を本格化させた昨年11月以降、紅海を通過する船舶に占める中国船の割合が急上昇。同月には中国系海運会社「海傑航運」が新たに紅海ルートを使った海運ビジネスに参入した。これに対し、今年に入ってからは「日本や欧州の船はほとんど通らなくなった」(業界関係者)とされる。
中国はフーシ派の後ろ盾とされるイランと友好関係にある一方、イスラエルとは一定の距離を置く。フーシ派は中国船について「安全な航行」(報道官)を保証すると表明済み。迂回ルートを航行する中国船もあるが、中国の専門家は「国内企業は(世界の海運業界で)高い競争優位性がある」と指摘する。
世界貿易機関(WTO)のリポートによると、タンカーやコンテナ船が迂回ルートでアジアから欧州に向かう場合、到着に必要な日数は紅海経由と比べて平均17日増える。船舶保険料も上昇しており、運送コストは前年の数倍に膨れ上がったもようだ。
東京の日系海運企業関係者は、日本のコンテナ船の「ほぼ全てが喜望峰を経由している」と説明。その上で、中東の混乱が長期化した場合、「相対的に低コストの中国企業に需要が流れる可能性が高い」と危機感を強めている。
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