イラン、「平穏」強調=対イスラエル・米国で緊張望まず
【イスタンブール時事】イランのメディアは19日、イスラエルが実行したとみられる攻撃で「大規模な爆発は起きていない」と伝え、あくまで「平穏」を強調した。イランは報復の連鎖に伴うイスラエルやその同盟国・米国との緊張激化を望んでおらず、核施設など国内の重要拠点に目立った被害がなかったとアピールして事態収拾を図る思惑もありそうだ。
イラン国営メディアは「原因不明の爆発音が聞こえた」と速報。その後は「防空システムが作動し、不審な物体を標的にした」などと刻々と伝えた。国営テレビが生中継した攻撃対象とみられる中部イスファハンの市街地では、普段通りに車が行き交っており、混乱や被害の気配はなかった。
イスラエルへの直接攻撃を主導した精鋭部隊「革命防衛隊」に近いタスニム通信は、「イスファハンや国内の他の場所に対して外国からの攻撃の情報はない」と主張した。国民に平静を呼び掛けるとともに、イスラエルへの厳しい対応を求める好戦的な保守強硬派の声を抑え込む狙いが透ける。ロイター通信は、イスラエルに対して即時反撃する計画はないとするイラン政府高官の発言を伝えた。
イランは、13日夜から14日未明に行った前例のない対イスラエル直接攻撃が「限定的で懲罰的だった」(ライシ大統領)と主張。衝突の泥沼化を避けたい意図は明らかだった。仮にイスラエルの反撃が今回限りで、比較的小規模にとどまったとすれば、報復の連鎖を断ち切って緊張緩和に向かう可能性が高まりそうだ。
[時事通信社]
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