「9月までに改憲」絶望的=岸田首相公約、迫る総裁任期
岸田文雄首相が目指す9月の自民党総裁任期満了までの憲法改正は絶望的な状況だ。衆院憲法審査会は11日にようやく実質審議入りする見通しだが、今国会の審議日程は窮屈。総裁任期切れが迫る中、国会発議に向けた与野党の歩み寄りは難しそうだ。
「総裁任期中に実現するとの思いの下、今年は条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速していく」。3月の自民党大会で、首相は改憲への決意を重ねて強調した。
衆院憲法審は2023年6月に緊急事態条項に関する各会派の立場をまとめた論点整理にこぎ着けたが、その後の与野党協議に具体的な進展は見られない。
これに追い打ちをかけたのが裏金事件だ。今国会で、立憲民主、共産両党は事件への対応が先決だとして、衆院憲法審の審議入りに猛反発。自民党関係者は「立民の中でも特に改憲に後ろ向きな勢力が、審議が進まないよう糸を引いていた」とこぼす。
6月23日の会期末まで、衆院憲法審の定例日である木曜は大型連休を除くと11日を含め10日のみ。改憲の国民投票法は国会発議から投票までの期間を最低60日と定めており、総裁任期中の改憲実現はますます難しくなっている。立民内からは「条文案すらなく、今国会で通せるわけがない」(幹部)と改憲阻止に向け余裕の声が漏れる。
首相は21年10月の就任以来、繰り返し改憲に意欲を示してきただけに、ある中堅議員は「ハト派の岸田氏なら改憲できるのではと期待したが、もう厳しいだろう」と指摘。保守派内からは「改憲できなければ、岸田政権は終わりだ」(自民ベテラン)との声も出ている。
[時事通信社]
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