核ミサイル開発加速を懸念=北朝鮮パネル停止で―日本政府
国連安全保障理事会で北朝鮮制裁決議の履行状況を調べる専門家パネルの任期延長が否決されたことを受け、日本政府は北朝鮮が核・ミサイル開発を加速させかねないと懸念を強める。米韓両国と連携して国際包囲網を維持したい考えだが、圧力低下は避けられないとの見方も出ている。
林芳正官房長官は29日の記者会見で「パネルは安保理決議の実効性向上に重要な役割を果たしてきた」と指摘し、任期延長否決に「遺憾」を表明。ロシアによる拒否権行使を「国連および多国間主義の軽視であり、安保理理事国としての重責に反する行為だ」と非難した。
北朝鮮船舶が制裁逃れのために洋上で物資を積み替える「瀬取り」に対処するため、カナダやオーストラリアは近年、日本とともに東シナ海などで警戒監視活動を行ってきた。防衛省関係者は、パネルが活動を止めれば各国が対応を見直す恐れもあると指摘。「監視の目が弱まれば北朝鮮は動きを活発化させるだろう」と警戒感を示す。
日本政府内には「パネルの存廃にかかわらず、北朝鮮は核・ミサイル開発を続ける」(関係者)と冷めた見方もある。ただ、パネルは「対北朝鮮の国際連携の象徴」(外務省関係者)。2009年の設置以来、毎年全会一致で延長を重ねてきただけに、任期が切れれば北朝鮮が勢いづくのは確実だ。
首相官邸関係者は、パネルの活動停止はロ朝接近の結果だと指摘し、日米韓3カ国で連携して圧力を維持する必要性を強調した。4月に訪米する岸田文雄首相はバイデン大統領との日米首脳会談で、同月末に迫るパネル活動停止後の対応を協議したい考えだ。
[時事通信社]
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