紅麹回収、取引業者に不満の声=小林製薬に補償要求も
小林製薬の紅麹(べにこうじ)入りサプリメントを摂取した人が健康被害を訴えている問題で、原料として紅麹を購入した食品メーカーや商社が不満を募らせている。急増する顧客の問い合わせに対応を迫られる一方、小林製薬とは連絡がつかないと訴える。商品回収の費用だけでなく、売り上げが減った分の補償を求める声も上がり始めた。
紅麹を仕入れて10社程度に販売している会社の担当者は、小林製薬が健康被害と自主回収を公表した22日にFAXが届いた後は連絡がつかず、「販売先との対応が進まない」と困惑を隠さない。紅麹の粉末を販売する食品会社代表は「連絡が取れず、自主回収の対象を絞り切れなかった」とこぼした。
紅麹を20年以上使用している食品メーカー社長は「相当な損害になる。補償についても相談したい」と憤慨する。商社を通じて紅麹を購入しているみそ工場の担当者も、「信用低下や売り上げ減少の恐れもある。回収費用以外も補償してもらいたい」とぼやいた。
小林製薬は、自社と原料販売先52社を合わせた回収費用を18億円と想定。しかし、厚生労働省によると、商社などを通じた最終的な販売先は少なくとも170社に及ぶ。健康被害の報告も日を追って増えており、費用負担が膨らむのは避けられない。
一方、小林製薬の紅麹を使用していない会社にも影響が波及した。人気のカップ麺「どん兵衛」の一部に「ベニコウジ色素」を使用している日清食品ホールディングスは、ホームページに「グループ各社で小林製薬の紅麹原料は一切使用しておりません」と掲載した。着色料として小林製薬のものとは別の紅麹を仕入れている丸美屋食品工業(東京)も、問い合わせが急増し、従業員が残業して対応しているという。
[時事通信社]
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