米英、中国系ハッカーに制裁=サイバー攻撃関与、日豪も非難
【ワシントン、ロンドン、シドニー時事】米英両政府は25日、自国や外国の政治家らを狙って中国政府系ハッカー集団がサイバー攻撃を行っているとして、関連する個人・団体に対する制裁などの措置を取ったと発表した。ニュージーランド(NZ)政府も26日、中国政府系集団によるサイバー攻撃を受けたと明らかにした。
英政府は25日、2021~22年に選挙管理委員会のシステムや国会議員がサイバー攻撃を受けた可能性が高いと公表。中国政府系ハッカー集団「APT31」のメンバー2人とフロント企業に制裁を科した。ダウデン副首相は「世界中の政治家や民主的プロセスに携わる人々が標的となっている」と訴えた。
米司法省は、APT31に所属する7人をコンピューター侵入などの罪で起訴した。いずれも中国在住で、米当局は身柄を確保していないとみられる。ガーランド司法長官は声明で「米国と同盟国の安全保障を脅かす悪質なサイバー攻撃だ」と非難。米財務省もハッカー集団への制裁を発表した。
また、NZのコリンズ通信保安局担当相(国防相と兼務)は26日、NZ議会のネットワークが21年に中国政府系ハッカー集団からサイバー攻撃を受けたと表明。NZ外務省は同日、駐NZ中国大使を呼び、懸念を伝えた。
米英の発表によると、ハッカー集団は報道機関を装うなどして、各国の政治家、当局者らに1万通以上のメールを送付。受信者がメールを開くと、さまざまな個人情報が流出するようになっていた。
林芳正官房長官は26日の記者会見で「民主主義の基盤を揺るがしかねない悪意あるサイバー活動は看過できない」と述べた。オーストラリアのウォン外相とオニール内相も共同声明で「民主的な制度やプロセスを攻撃対象にする行為は容認できない」と強調した。
中国外務省の林剣副報道局長は26日の記者会見で、米国が主導し「中国ハッカーに関する虚偽情報」を以前から広めていると主張。「中国への一方的制裁に断固反対する」と述べ、関係国に抗議したと明らかにした上で対抗措置を示唆した。
[時事通信社]
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