スロバキアの「ハンガリー化」に懸念=親ロシア姿勢、強権統治に批判
【ベルリン時事】東欧スロバキアのフィツォ政権に対し、強権統治を敷くハンガリーのオルバン政権と同様、欧州連合(EU)の結束を脅かしかねないとして懸念が広がっている。25日で就任5カ月となるフィツォ首相は、ロシアによるウクライナ占領を認める形での停戦を主張。国内で進める司法改革も「法の支配」を弱めると批判を浴びている。
「非常に重要な問題を巡り、意見の違いがある」。チェコのフィアラ首相は6日、かつて同国と連邦を形成し、分離後も緊密な関係を維持してきたスロバキアとの政府間対話を中断すると表明した。チェコはウクライナ支援を強力に進めており、スロバキア外相が2日にトルコでロシア外相と会談したことを問題視した。
昨年10月に首相に返り咲いたフィツォ氏は、ウクライナへの武器供与停止を決定。今年1月にはロシア軍撤退は「非現実的だ」と述べ、ウクライナに領土奪還を断念するよう促した。ただ、スロバキアの民間企業による武器供給を容認するなど、西側諸国との過度な対立は避けている。
スロバキアで今月23日実施の大統領選は、フィツォ氏を支えるペレグリニ元首相と、野党の支持を受けるコルチョク元外相による事実上の一騎打ちで、フィツォ政権への評価が争点。いずれの候補も当選に必要な過半数に届かず、ペレグリニ、コルチョク両氏が来月6日の決選投票に進出する公算が大きい。
退任するチャプトバ大統領は、汚職罪の罰則軽減を含むフィツォ政権の司法改革にブレーキをかけてきた。ペレグリニ氏が後継に就任すれば、フィツォ氏に一段と権力が集中し「法の支配を巡って、EUとの衝突につながる」(ロンドン大キングスカレッジの研究者)と懸念する声もある。
同様に親ロシア姿勢が目立つハンガリーのオルバン政権に対して、EUは性的少数者の権利やメディアの独立性が侵害されていると憂慮。裁判官人事や汚職捜査への政治的介入を防ぐ対策が不十分で「法の支配」が損なわれているとして、資金供給の一部を凍結している。欧米メディアは「次はスロバキアかもしれない」と伝えている。
[時事通信社]
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