2024-03-19 15:01社会

「性犯罪歴あり」で配置転換=子どもの安全、学校に義務―日本版DBS法案決定・政府

「日本版DBS」の仕組み
「日本版DBS」の仕組み

 政府は19日の閣議で、子どもと接する仕事をする人の性犯罪歴の有無を確認する「日本版DBS」の創設法案を決定した。これから就業する人や現職の人を対象に、学校などに確認を義務付ける。性犯罪歴がある場合、子どもの安全を守るため、就業希望者は採用せず、現職者は子どもと接触しない仕事へ配置転換するといった対応を求める。法律の公布から2年半以内に施行される。
 加藤鮎子こども政策担当相は閣議後記者会見で「社会全体で子どもを性暴力から守る意識を高める観点で大変重要な法案だ」と述べた。
 名称は「児童対象性暴力防止法案」。学校や保育所、児童養護施設などに、子どもの安全を守る対策の実施を義務付ける。性犯罪歴の確認のほか、職員研修や相談体制の整備を求める。一方で、学習塾やスポーツクラブなどには一律に義務付けず、任意の認定制度の対象とする。安全確保の体制を整えた事業者を国が認定し、公表。認定事業者には学校と同様に性犯罪歴の確認が課される。 
 照会できる性犯罪歴は、刑法で定めるものに加え、痴漢や盗撮を取り締まる都道府県の迷惑防止条例違反も対象。照会期間は、拘禁刑(現行の懲役刑、禁錮刑)は刑を終えてから20年、罰金は10年。拘禁刑の執行猶予の場合は判決確定日から10年と設定した。
 確認の際は、学校などの雇用主から申請を受けて、こども家庭庁が法務省に照会し、犯歴の有無を示した「確認書」を交付する。性犯罪歴がある場合は事前に本人に通知し、内定辞退や退職をすれば確認書は出さない。
 こども家庭庁は、現職者の配置転換が難しい場合の解雇について「許容されることもあり得る」として、具体的な考え方を指針で明確にする方針だ。このほか法案では、性犯罪歴がない職員についても、学校などが児童との面談や相談を踏まえて、性暴力が行われる恐れがあると認めるときは、子どもと接する業務から外すといった対応を求める。
 政府は当初、法施行後に制度を見直す時期を「5年後」とする方向だった。しかし、照会期間の延長を求める自民党内の意見を踏まえ「3年後」に短縮した。

最新動画

最新ニュース

写真特集