自民、全容解明に後ろ向き=参院政倫審3人、野党反発
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、参院政治倫理審査会での弁明を申し出たのは世耕弘成前参院幹事長ら3人だけだった。自民が「政治とカネ」の全容解明に本気で取り組む姿勢は依然見えない。野党は「3人は第1弾だ」(立憲民主党の岡田克也幹事長)として、32人全員の出席を求めて圧力を強める。
「政倫審は党の幹部が強制的に、党の意向として出てくれという話ではない」。自民党の梶山弘志幹事長代行は12日の記者会見で、出席するか否かは議員個人の判断だと強調した。
立民、日本維新の会、共産、国民民主の野党4党の申し立てを受け、参院政倫審は8日、全会一致で32人の審査を議決。ただ、強制力はなく出欠は個人の判断に委ねられていた。
自民は野党の主張通りに32人全員が審査会で弁明すれば、内容に食い違いが生じかねないと懸念。特に、安倍派は改選を迎える同派議員に派閥パーティーで集めた資金を全額還流した疑惑があり、野党側は「裏金が参院選に使われた可能性がある」として、厳しく追及する構えだ。
今回、世耕氏、橋本聖子元五輪担当相、西田昌司参院議員の3人にとどまることについて、自民若手は岸田文雄首相と安倍、二階派幹部の計6人が出席した衆院を引き合いに「衆院とのバランスだ」と解説。自民党幹部も「数人出ればいい」と話していた。
これに対し、立民の泉健太代表は党会合で「自民が弁明を妨げている気がしてならない」と批判。共産党の穀田恵二国対委員長も会見で「自民執行部が(出欠に)関与していないと思う人は誰もいない」と皮肉った。
参院政倫審規程17条は「必要な時は、申し立てをされた議員等の出席および説明を求めることができる」と定めている。野党は今後、残りの29人に対する議決を求める方針だが、与党が応じるかは不透明だ。
維新の音喜多駿政調会長は記者団に「あまりにも弁明が少人数ならば、しかるべき対応を考える」と述べ、参考人招致や証人喚問を要求する可能性に言及。穀田氏も「証人喚問を段取りにはめ込む時期に来ているのではないか」と訴えた。
[時事通信社]
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